今月のBOOK

(2004年 9月号)



  『おっと合点 承知之助』
  斉藤 孝 :文
  つちだ のぶこ :絵
  ISBN4−593−56045−4
  ほるぷ出版 本体1,200円
  2003年1月


今月は「絵本」の紹介です。
「絵本」というと、子供の本という先入観がありますが、
大人でも、眺めているだけでじゅうぶん楽しいと思いませんか?

最近は歳をとってきたせいか
文字がびっしりの文庫本よりも
明るくて楽しい絵がいっぱいの絵本を眺めているほうが、
気持ちがリラックスできます。

私の絵本好きは
まだ子供もいない独身の若い頃からのもので、
コレクターではありませんが、
気に入ったものがあれば、少しずつ買い求めてきました。

子供が産まれてから、
それらの本を取り出しては
「読み聞かせ」もずいぶんしてやりました。
親自身も絵本にある程度興味がないと
「読み聞かせ」って、意外に面倒なことだし
ずいぶんパワーのいることだと思いますが、
子供が小さい時にしてやっておいて、本当によかったなと思います。

きれいな絵本をただ子供に買い与えてやって、
ほおっておくのでは、かわいそうで、
手垢がついて薄汚れるくらい
同じ話を何度も何度も
お母さんお父さん自身の声で語ってあげるのがいいのです。
これをやったからといって、
子供が本が大好きな子になるかというと
そういう保証はないのですが、
「精神の安定」と言う意味で
幼児期の大切な時期に、種をまいてあげれば
10年、20年いやいやもっとずーっと後になっても
その子は大事なものを持ち続けてくれると思うのです。


最近は「読み聞かせ」がさかんで
幼稚園や学校だけでなく
いろんな団体がボランティアで取り組んだりしています。
いい絵本に触れる機会が多い今の子供たちが
ちょっぴりうらやましくもあり・・・。
こんなオバサンになっても
自分のために誰か絵本を読んでくれないだろうかと思うことがあります。
おかしな話ですが・・・。(^^;)

さて、ここで紹介した「おっと合点 承知之助」という絵本ですが、
平凡社から出ている「別冊太陽」という雑誌で
2003年度の絵本の上位ランキングが出ていたので
それを参考にして
その中で私が一番気に入ったものを紹介しました。

子供が大きくなってすいぶん疎くなってしまったのですが
NHKの「日本語であそぼ」とかの影響で
ずいぶんと難しい日本語でも今の小さい子供たちは知っているんですね。
「じゅげむ じゅげむ」なんて、私言えませんもの。
この本の作家の斉藤氏も
言葉のリズムがおもしろい付けたし言葉を
ぜひ声に出して読んでみてほしいと言っています。
「その手は桑名のやきはまぐり」とか
「驚き 桃の木 山椒の木」とか
どっかで聞いたぞ〜っていう言葉ばかりです。
お祖父ちゃんおばあちゃんがいれば
そういう言葉も自然に耳に入るのかもしれませんが、
今の子供たちは
こうやって絵本から言葉を覚えるんですね。
つちだのぶこさんの絵も、昭和を感じさせるようなレトロっぽい色調で
私は好きです。

ちなみにこの本はベスト2位でした。
1位は、白泉社 酒井駒子=作・絵の「ロンパーちゃんとふうせん」
3位は、童心社 長新太=作の「みみずのオッサン」でした。
興味のある方は、
ぜひ読んでみてくださいね。